映画トラベラー村山が、あの映画ロケ地に勝手に強行取材! 「ことりっぷJALくらぶアプリ」(http://co-trip.jp/appli/info.html)で掲載中の映画ロケ地紀行「あの映画の名場面を訪ねて」が、ビデオパスブログでも連載中。さて今日はどこへ行ってみた!?
TEXT by/村山章
長崎 『横道世之介』
観る者すべてが温かな幸福感に包まれる、感動傑作の誕生!横道世之介(高良健吾)は大学進学のために上京したばかりの18歳。お嬢様育ちのガールフレンドの与謝野祥子(吉高由里子)をはじめ、世之介と彼に関わった人々が過ごす青春時代。16年後、世之介に起こった出来事から、愛しい日々と優しい記憶の数々が鮮やかにそれぞれの心に響きだす…。
実家に帰ってきた世之介が降りた漁港のバス停
色褪せたバス停の看板がなんともいえない味わい。
大学進学で田舎から上京した18歳・世之介の一年間を通じて、青春も恋も人生の喜びも悲しみもまるごと描いて見せた名作『横道世之介』。世之介が通う大学は原作者・吉田修一と同じ法政大学で、実際に東京の法政大学でロケが行われているが、夏休みの帰省のシーンでは世之介の故郷・長崎の風景がおひさまみたいな世之介のキャラとシンクロして印象に残る。
そんなわけで、やってきました長崎へ。長崎、と言ってもグラバー園や平和公園といった観光客が多く訪れる長崎市街ではなく、郊外の数か所がピックアップされて劇中では実家の近辺ということになっている。
まず行って見たのは、帰省した世之介が降り立ったバス停のある漁港。劇中では漁師のおじいさんが日向ぼっこのように座っていて、なんとものんびりとした風情が漂っていたところ。登場したおじいさんは地元のエキストラだったとか。
長崎の繁華街がある中央橋からバスが出ているが、時間短縮のためにレンタカーで移動。クネクネと曲がり起伏の多い道を行くと、突然巨大な造船所が現れたりして、景色のスケールがデカい。やがてこぢんまりとした漁港が見えてきた。「神の島」という地名は埋め立てで地続きになるまでは島だったからだそうで、江戸時代末期には島民すべてが隠れキリシタンだったという説もあるのだとか。
実際に路線バスの折り返し地点にもなっていて、ひっきりなしにバスがやってくる。あの一本に世之介も乗ってきたんだなと思ったりしつつ、続く階段のシーンなんかは全然別の場所で撮られていたりして、そこは映画ならではのトリックってことで。
【実際の地図上で確認!】https://goo.gl/maps/bCtfY
映画では、ちょうどこの道路の向こうから世之介が乗ったバスがやってくる。
映画とは反対側から神の島漁港の全体を眺める。近くには明治時代に建てられた神ノ島教会堂もある。