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映画トラベラー村山が、あの映画ロケ地に勝手に強行取材! 毎月、雑誌「DVD&ブルーレイVISION」(毎月20日発売)で掲載中の世界映画ロケ地紀行「行ってみたタイムズ」が、ビデオパスブログでも連載中。これまで行ってきたロケ地も順次下のカテゴリー欄にアーカイブ! さて今日はどこへ行ってみた!?

TEXT by/村山章

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ビッグ・フィッシュ
ティム・バートンが贈る、心に残る感動作。「人生のストーリー」というお伽話で、みんなを楽しませ、幸せな気分にさせたエドワード。しかし、一人息子のウィルは父の話が嫌いだった。そんなある日、患っていたエドワードの容態が悪化し、実家に戻ったウィルは、残された時間があとわずかだと告げられる。

エドの故郷アシュトンが凝縮された町、発見

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エドの故郷アシュトンの繁華街、ではなくウェトンプカの中心部。映画の中でも時代を追って何度も登場する。

ティム・バートンの名作『ビッグ・フィッシュ』の故郷を訪ねるアラバマ紀行の第二回目は、いささか発音しづらい町ウェトンプカへやってきた。映画の中ではアシュトンと呼ばれていたが、ココこそが主人公エド・ブルームが生まれ育った町としてロケが行われ、映画を通じて何度も登場する場所なのだ。

この辺りにはクーサ・リバーという大きな川が流れ、やがて蛇行しながらアラバマ川と名前を変えるのだが、ウェトンプカはクーサ・リバーを挟んで広がっている。川の東岸にささやかな繁華街の名残りがあり、『ビッグ・フィッシュ』のアシュトンはほぼココで撮影されている。

大きな郡の庁舎は、巨人カールの横暴に苦しんだ町民たちが集会をしたり、巨人問題を解決したエドに“町の鍵”が贈られた場所。その正面の道では老いたエドを病院から連れ出した息子のウィルが逃走中にカーチェイスをした道。結婚したエドが最初に住んだのも、終の棲家として家を買ったのもすべてココなのだ。

映画の中の設定がどの程度の規模かはわからないが、訪れてみると映画で観たスポットのほとんどがわずか100m四方ほどに収まってしまう。『ビッグ・フィッシュ』とは、アメリカの片田舎であるアラバマ州の、本当にささやかな町から飛び出して、そして帰ってきた青年の物語だったのかと、感慨深くなる。まさにエドワード・ブルームのルーツがここにある、と言い切ってしまっていいんじゃないだろうか。

【実際の地図上で確認!】https://goo.gl/maps/KDKtG

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エドが町長から“町の鍵”を贈られた庁舎前。

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庁舎前からの景色。劇中ではここにアシュトン中の人々が集まった。

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アメリカの田舎の例にもれずかなり寂れてしまっているが、古き良き時代をしのばせるノスタルジーは満点。

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劇中でも映るウェトンプカの映画館。とっくの昔にクローズした模様。

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映画館に貼ってあった借り手募集の看板。おカネのある方、いかがですか?

※ビデオパスFacebookで連載されていた記事となります。